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経営レポート

経営とコンピュータ

2014年1月26日|コンピュータ

■はじめに                  
 コンピュータは、今や、個人でも所有できる比較的安価な商品になった。コンピュータが世の中に出たころは、超巨大企業しか購入できない非常に高額な商品であった。それが、高々、50年ほどの間に、価格性能比が驚異的なスピードで向上し、数十億から数百億円したものが、わずか数十万から数百万円程度で購入でき、しかも、性能は、当時のものよりも何百倍にも向上している。

 そして、現在、コンピュータは、社会のありとあらゆる場面で使われるようになった。また、使い方も、単体コンピュータでデータ処理をする方式から、コンピュータ同士をネットワークでつないで、データ交換をする方式へ、さらに、インターネットを介して、全世界のコンピュータと接続して、情報収集や情報発信をする方式へと進化してきた。現在も、コンピュータ及びコンピュータの利用法は、目に見えないところで、或いは、目に見える形で進化を続けている。まさしく、現代は、情報革命の真只中にいるといって間違いない。

 以下、経営においてコンピュータがどのように使われているかを、過去に経験し学習した範囲内で個々の事例を紹介したい。個別の事例であるから、即それが応用できるとは限らないが、皆様の経営においてコンピュータ利用についての何かしらのヒントになれば幸いである。

 コンピュータは、ありとあらゆる場面で使われているが、それでも未開拓の分野はまだまだ埋もれているに違いない。そして、その利用方法のヒントは、コンピュータ屋の頭の中ではなく、実際の現場にあると思われる。皆様の業務の中でコンピュータを活用していきたいと思われるならば、是非とも専門家に相談して欲しい。

■仏壇屋さんの顧客管理            
 15、6年以上前になるが、システムを作って欲しいというご要望で、ある仏壇屋さんを訪れたことがあった。初対面の挨拶もそこそこに、店主の言った言葉が驚きであった。

「仏壇業界は、これから情報戦争の時代ですよ」と。

仏壇屋さんと「情報戦争」がどう結びつくのか直ちにはわからなかった。仏壇業界は、伝統を重んじるとても古い業界であるという先入観があった。実際、店主によると、「先代の時代は、FAXを導入することすら、躊躇していた」そうである。先代は、余計な設備投資をせず、ひたすら良い仏壇をお客様に提供すべく堅実な経営を心がけていたという。

 学生時代からパソコンに慣れ親しんだ二代目は、先代の堅実経営路線を守りながらも、パソコンの威力を仏壇屋の経営に積極的に活用していきたいと考えておられた。確かに、当時の仏壇業界で、経営にコンピュータを活用していこうと考える仏壇屋さんは、少数派であった。

 店主のいう「仏壇屋の情報戦争」とは、種を明かせば、不思議でも何でもない至極当然なことであった。これまでの商売において実践していたことを、コンピュータの威力を活用しようとしたに過ぎない。

 店主曰く、仏壇の商売は、一回限りのお付き合いではなく、10年、20年とお客様とのお付き合いが長く続くところに特徴がある。実際、仏壇購入後、10年、20年経って、お客さんから電話がかかってきて、「あの時、お宅で仏壇を購入したものだが、そろそろ洗濯をしたいのだが、・・・・・」という相談があるという。この時、お客様に対して、適切な対応をすることが仏壇屋の商売にとって非常に重要だという。つまり、昔のこととはいえ、仏壇を購入していただいたお客様のことは、私どもは、ちゃんと覚えていますよというメッセージを発信することであるという。「あー、あのとき、あの仏壇をご購入いただいたお客さんですね?その後、皆様お変わりありませんか?」とスムーズに会話をつなぐだけで、お客様の方も安心して、いろいろ相談することができるようになる。

 電話を受けるのは、必ずしも、事情を知った店員さんばかりではない。新人の店員さんかもしれないし、古い店員さんでも、そのお客様と応対したことがないかもしれない。仮に応対していても、古いことなので記憶が薄れてしまっていることは十分にありうるだろう。お客様の応対にもたもたしていては、まとまる話もまとまらなくなってしまうかもしれない。

 お客様の名前を聞いたとき、コンピュータで検索するとお客様に関する情報がたちどころに画面上に出てくれば、店員が誰であっても、お客様と適切な会話を交わすことができるようになる。店主は、こういう発想に基づいて、仏壇屋さんの顧客管理システムを構築したいといわれたのである。

 これまでも、顧客の情報はノート等に記録していたに違いないが、名前からお客様情報を探し出すまでに時間はかかっていたかもしれない。また、顧客情報の更新も重要であるが、面倒くさいし、結構大変な手間になる。盆暮れの見舞い状や、ダイレクトメールを出すときの宛名書きも手作業ではなかなか面倒である。これら顧客の情報が、コンピュータ上に管理されていれば、このような問題は全て解消されるのである。また、この顧客情報をうまく活用すれば、お客様に対して今までとは違った新しいサービスが提供できるかもしれない。

 こういうお話を伺って、「仏壇屋さんの情報戦争」の謎が解けたのであった。

 顧客情報管理自体は、別に新しいテーマではなかったが、仏壇屋さんにおけるこういう利用法が、筆者にとって非常に新鮮であった。頭の中でこねくり繰り回していただけの顧客情報管理が、実際の応用によって、初めて生きたシステムになることを実感した。

 この仏壇屋さんの応用では、コンピュータの二つの属性を有効に活用した例といえよう。

 一つは、ハードディスクが壊れない限り、顧客情報の記録が消えることはないという点である。人間だったら、古いことは簡単に忘れてしまうが、コンピュータは決して忘れることはない。

 今一つは、大量のデータの中から、必要なデータを瞬時に検索できるという点である。しかも、検索条件としては、顧客名だけではなく、購入年月日、商品名、購入価格等、或いはこれらを組み合わせた条件を指定して瞬時に検索できるのである。人間であれば、顧客名だけの検索であれば、何とかできるかもしれないが、その他の条件での検索となると、もうお手上げである。

■最後に                   
 顧客情報をコンピュータ化することにより、新たな応用が可能になる点も強調しておきたい。例えば、顧客向けダイレクトメール用宛名作成とか、購入年月日から一定期間経過するごとに案内状の作成とかが簡単にできるようになる。顧客からすれば、仏壇屋さんが自分の購入した日付をちゃんと覚えていることに感激するかもしれない。

 このように、これまで人手では不可能だったサービス、またはコストがかかりすぎて断念していたサービスが、コンピュータを利用することにより、大したコストをかけずに新たに可能となるのである。

〔会報『人事と労務』 2007年春号 より〕


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