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経営レポート

経営におけるコンピュータ利用 part3

2014年1月29日|コンピュータ

 コンピュータの進化のスピードは、コンピュータ屋にとってすらすさまじいばかりの速さであり、戸惑いは禁じえない。コンピュータは、高性能化と小型化が驚異的に進み、今や、個人が気軽に購入できるほどの低価格となった。

 そして、インターネットというネットワーク基盤が世界中に張り巡らされて、簡単にインターネットにアクセスできる環境が整備された。こうして、個人でもインターネットを介して世界中のコンピュータと接続できるようになったのである。

 一般消費者によるインターネットの利用は随分進んでいるが、会社の業務として本格的にインターネットを利用している例は、まだそれほど多くはない。会社間の業務連絡用に電子メールを利用したり、社内限定のインターネット(即ち、イントラネット)により、社内でグループウエアを利用するのがせいぜいのところであろう。

 インターネットの業務での利用は、いろいろな課題が残されているために、まだ、試行の段階に止まっている。コンピュータウイルスの問題、情報漏洩の問題、暗号化の問題、データ互換性の問題等々、一社では解決できない問題が山積みである。しかし、徐々にではあるが、インターネットを業務に利用しようという試みがなされ始めている。

■インターネットによる受発注システム     
 ここで紹介するのは、先駆的に業務にインターネットを活用し、業務プロセスを改善したある部品業界の協同組合(以後、A社という)の話である。

 この部品業界では、バブル経済崩壊に伴い、従来のやり方を大きく転換しない限り、今後生き残っていくのは難しいという危機認識があった。部品調達会社と部品供給メーカーが数十社集まって、部品調達プロセスの改善を検討した。利害の異なる各社の思惑が交錯して、結論をまとめるのはなかなか困難であったが、最終的には、部品調達を主業務とする協同組合を設立し、この組合に加入する部品調達会社、仕入れ業者の双方にとって有利となる部品調達システムを構築することにした。

 このシステムの中核となるのが、インターネット技術であった。これにより、A社の業務にかける人手が大幅に削減でき、従って、調達コストの大幅な削減が可能となった。また、受注した部品は、一社の仕入れ業者に偏ることなく、あるルールに基づいて平均的に発注するような仕組みとした。これにより、仕入れ業者にとっても安定的な受注が期待できるようになったのである。

 A社の受発注システムは、おおよそ以下の通りである。

 部品の発注業者に対しては、発注入力の画面をWEB画面(脚注参照)として提供する。もちろん、このWEB画面は、A社の顧客として登録された業者にだけ提供される。WEB画面であるから、インターネットに接続していれば、どこからでも発注業務を行なうことができる。

 発注業者が、この発注入力画面において、業者コード、部品コード、数量、納期等を入力してA社に発注をかけると、受注を受け付けたという内容の電子メールが自動的に発注業者に配信される。この入力作業は、発注業者が行なうので、A社による入力ミスは発生しない。

 従来の電話注文やFAXによる注文では、発注業者の指示に従って入力するので、A社による転記ミスや入力ミスは避けられなかったが、この方式では、A社による誤発注は根絶できる。発注業者が入力ミスをしたとき、仕入れ業者への発注前までであれば、注文取消しや数量変更を行なうことができる。また、自社の発注履歴もWEB画面から自由に参照できる。

 このシステムは、ある程度の発注数量をまとめてから、仕入れ業者に電子メールで発注があることを知らせる。知らせを受けた仕入れ業者は、やはりA社の提供するWEB画面から、受注部品の個数と納期等を確認する。仕入れ業者は、受注を確認して、部品をA社に納入する。

 また、システムは、発注業者ごとの請求の時期になったら、自動的に請求データを電子データとして発注業者に送信して、請求業務をおこなう。
このシステムでは、ほとんどの処理は自動で行なうことができるが、手作業が必要となる処理はやはり存在する。

 たとえば、発注業者からの入金の都度行なう入金消しこみ処理がそうである。この作業は、自動処理することができないので、入金データの入力処理は人間が行なわなければならない。また、商品マスタのメインテナンス、顧客マスタ、仕入れマスタのメインテナンス等もやはり人間の手が必要となる。

 また、時には緊急で部品を調達する必要が生じるかもしれない。このような場合、仕入れ業者に電話連絡をとって、緊急の要請を図ることになる。

 こうしてみてくると、このシステムは、クライアント・サーバ・システム上で構築された販売管理システムと構造的に類似している。異なるのは、クライアント・サーバ・システムが構内回線(LAN)を利用しているのに対し、このシステムはインターネット回線を利用している点である。構内回線の場合、自社内だけでしか利用できないが、インターネット回線の場合には、自社だけでなく、他社(もちろん、事前に登録された会社のみであるが)も利用することができる。

 このシステムが実現できたのは、業界内でこのような仕組みをつくるというコンセンサスが得られたことと、インターネットに簡単に接続できる環境が整備されたおかげである。

 一社だけでの業務プロセスの合理化が極限までなされたのなら、次は、会社間の業務プロセスの合理化であろう。他社との調整を前提にした合理化は、利害関係も絡み必ずしも容易ではないが、いずれ、今後の課題となる。このとき、インターネット技術は有効な手立てとなるに違いない。

注)WEB画面とは、インターネットと接続できる画面のこと。この画面から入出力ができる。ホームページはその一例である。

〔会報『人事と労務』 2008年新年号 より〕


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