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2012年新年号(Vol.o52)/04


「人材育成」よりも「仕組み育成」

〔潟純Cズサービス・コンサルティング 矢田 祐二〕



 売上を増やし事業を拡大しようとする際に考えなければいけないことに、人材育成があります。このときに言われる人材育成の課題には、二つの意味を含んでいることを理解する必要があります。
 一つは、その言葉のとおりに受け取ることができます。将来、事業が拡大すると必ず人材不足、とりわけ管理者や起業家タイプの人材が不足します。新たな拠点を設ける等、会社を次のステージに上げる能力を有する人材がいないことが一番の課題になります。
 もう一つは、人材育成とは言いながら、実は組織化(仕組み化)ができていないケースです。

■人材育成が必要か仕組み構築が先か    
 組織化(仕組み化)を考える際に、一番その傾向が出やすいのが営業担当に関するもので、次のような課題が生じます。
 ・営業担当の一人当たりの生産性が低い
 ・営業担当に自発性がない
 ・仕事を覚えたころに退職する

 これらの課題を考えると、取るべき対策は「人材育成」でしょうか。そうではなく、多くのケースでは、事業の「仕組み」がない、組織の未熟さが原因のことが多くあります。

■営業担当はあくまでも仕組みの一部    
 あくまでも「営業担当が売上を上げるのでなく、仕組みが売上を上げる」という認識を持つことが必要です。
 営業担当は会社が組織的に事業をするための仕組みの一部と言えます。何かしらの宣伝を行い、見込み客を集めクロージングするという一連の流れの中の「販売という部分」を行うのが営業担当の役目です。この営業担当という役目は、あくまでも営業の中の一部の役割(部分)を人がやっているだけと考える必要があります。ある会社では、この役目を営業担当でなく、HPや電話オペレーターでやります。
 売上が上がらないのは、営業担当の能力不足、すなわち教育の問題というより、そもそも営業担当が動けるだけの事業の型ができていないのが原因かもしれません。

■営業担当が活きる仕組みや事業を構築する 
 営業担当を雇い、活かすためには、営業担当を活かせるだけの事業の仕組みが必要になります。その仕組みの中でも、とりわけ集客の仕組みが重要になります。
 営業担当の仕事は、「顧客が目の前に座って」から始まります、すなわち「販売」です。しかし、営業担当が活かされていない組織では、その多くが営業担当に「販路開拓」というそれ以上の期待を掛けています。当然ですが、「販売」よりも「販路開拓」は難易度が高いと言えます。見込み客リストもない状態で商品だけ与えられて「販路開拓」できる人材はそうはいません。それができるのは社長だけです。
 営業担当の人材育成以前に、組織として売上を上げる仕組みがあるのか、その事業は今の環境で十分耐えうるものなのかを確認する必要があります。その仕組みなら、並の営業担当でも成果が出せることが一つの基準となります。社長や優秀な営業マンしか売れない、ではダメです。

■並の営業担当で成果が出せるか      
<営業担当の一人当たりの生産性が低い>
 それだけの見込み客がいない、自社の提供するサービスのニーズに合わない人を集めている、営業以外の仕事が多い、などが考えられます。
<営業担当の自発性がない>
 ルールや情報がない、自分で判断して行動すると後から情報(ある時は叱責)を受ける、といった状態であれば、自然と自発性はなくなります。
<仕事を覚えたころに退職する>
 この会社は社長一人が活躍する会社であり、営業担当として成果を出しにくい組織であるかことが、1、2年働くと分かります。

 このように、組織の未熟さ、事業構築の弱さがあるのなら、それは社員教育の問題ではなく、組織や事業の限界であるといえます。組織、仕組み、事業を再構築することから、もう一度取り組まねばなりません。



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