|
■形だけの就業規則では限界
近年、多くの企業で就業規則の改訂が重要課題となっています。しかも、規定の一部分を直すのではなく、自社にあったオリジナリティのある就業規則に全面的に直すという改訂です。これは、個別労働紛争の増加、労働基準監督署による臨検の強化、労働契約法などの成立・改正などが主な要因です。裏を返せば、今まではオリジナリティのある就業規則があまり作られてこなかったということがいえます。
なぜ、オリジナリティがなかったのでしょうか。それは、今までは就業規則を必要とする場面が少なく、むしろ、上司と部下の人間関係・信頼関係で処理したり、会社と社員の力関係で問題を解決したりするのが通常であったからだといえます。
しかし、近年はそのような対応は通用しなくなってきました。労働基準監督署の調査は年々厳しくなり、就業規則通りに労務管理がなされているかをチェック・指導されます。また、労使間の個別紛争の機会も増え、その場合就業規則にどう書いてあるのかが非常に重要になってきます。さらに、若手社員のなかには、就業規則の提示を求めたり、就業規則の内容の遵守を迫ったりするのも当たり前のことになってきています。
このような背景から、形だけの就業規則では、様々なトラブルに対応するには限界があるばかりでなく、諸問題を解決するときに会社の意に反する結果が生じる可能性が非常に高くなります。
■就業規則の意味
そもそも就業規則とは、単純に考えれば「職場のルール」です。企業のコンプライアンスが問われる今日では、そのルールの内容が重要になります。割増賃金の計算方法など日常的な労務管理が不公平にならないように、統一的・画一的に行う必要があります。解雇や雇い止めなど、会社と社員のトラブルは就業規則の内容に則って解決を図ります。さらに、就業規則の内容や運用の仕方に瑕疵があり、コンプライアンス違反を指摘されれば、行政処分はもとより、対外的な信用の低下を招いてしまうこともあります。
また、今春施行された労働契約法第7条で、就業規則に規定されている内容が労働契約になる(これを就業規則の「契約内容規律効」といいます。)と法律で明記されました。
もし、就業規則が会社の実情に即していない場合、その就業規則が労働契約になる可能性ありが非常に危険です。
このように、就業規則の出番は確実に増えてきているといえます。
■就業規則の不備で社内は混乱
就業規則を実際に運用していくときに、その中に不備があると社内は混乱します。特に問題となるのが、現状と異なる運用方法が就業規則に定められている場合です。
たとえば、慶弔休暇は「連続5日間」となっている場合、現場では「連続5労働日」、就業規則では「途中に所定休日がある場合、所定休日も含む」となっている場合です。この場合、現場の運用通りに休暇をとった社員の中には知らないうちに欠勤扱いの日が出てきてしまうことになります。このようなことがないように就業規則を現場に合わせて改訂していくことが重要になります。
■就業規則のメンテナンス
このように、就業規則の改訂やメンテナンスは、会社にとって非常に重要な意味を持ちます。
就業規則がしっかりしていれば、労使間のトラブルの多くは未然に防ぐことができるとともに、万が一労使間でトラブルが発生しても、会社に不利な判断が下されるのを相当程度防ぐことが可能となります。
また、トラブルが多発するような職場では社員のモチベーションが下がり、会社の業績低下に繋がることになります。
「うちの会社は社員との信頼関係が厚いから大丈夫」とか「今までトラブルなんて一度もないから大丈夫」という考えは、いつまでも通用しません。リスクはどんな会社にも潜んでいます。この機会に就業規則の見直しをされてはいかがでしょうか。
|