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2007年新年号(Vol.o32)/03


高齢者医療制度と加入者への影響

〔 セントラル社労士法人 中島 幸志 〕



■高齢者医療の現状について        
 医療保険改革の最大の目玉は、新しい高齢者医療制度への移行です。現在の老人保健法がほぼ全面的に見直され、「高齢者の医療の確保に関する法律」に改められます。(2008年度施行予定)
 現行制度では、職業に応じた医療保険制度(健康保険、共済組合)に加入し、退職後は、原則として国民健康保険に加入します。75歳に達すると、国民健康保険に加入しながら老人保健という別制度の適用をも受けることになっています。また、農家や自営業者などの場合は75歳になるまで国民健康保険に加入し、75歳に達すると、更に老人保健の適用を受けます。
 このように、現行制度では職業別加入が原則であり、75歳に達した時点から老人保健という別の制度が二重に適用される仕組みになっていますが、「高齢者の医療の確保に関する法律」が施行されることにより、従来の医療保険制度が「職業別」であったものが、今後は「年齢別、職業別」になります。

■新しい高齢者医療制度への移行      
 高齢者医療制度の基本方針では、@一人当たり医療費が高く、国民健康保険や健康保険などの制度間で偏りが大きいことから、対象者を65歳以上の者とし、65歳以上75歳未満の者(以下「前期高齢者」という)と75歳以上の者(以下「後期高齢者」という)に分けそれぞれの特性に応じた新たな制度とする、A老人保健制度および退職者制度を廃止し、医療給付全体における公費の割合を維持しつつ、世代間及び制度間の保険料負担の公平化を図る、B現役世代の負担が過重とならないよう、増大する高齢者の医療費の適正化を図る、としています。
 新制度では、75歳未満の国民は現行と同様職業別の医療保険に加入しますが、75歳に達すると、職業別医療保険から切り離され、新たに作られる後期高齢者専用の医療保険に加入する制度に改められます。つまり、職業別医療保険は、75歳未満に限定されることになります。(障害者の年齢特例あり)
 前期高齢者の取り扱いも大きく変わり、従来は定年退職した者のほとんどが国民健康保険に移行していましたが、今後は国民健康保険には移行せず、引退時に加入していた医療保険に引き続き加入するようになります。
 しかし、高齢者の加入率は全ての医療保険で均一にはなりません。したがって、前期高齢者の制度間の偏在による医療費負担の不均衡を調整し、制度の安定性と公平性を確保するため、前期高齢者の医療費は全加入者で負担するとしています。
 後期高齢者医療制度の財源構成は、一部負担金を除いた費用の1割相当分は高齢者自身の保険料でまかない、残り5割相当分は公費、4割相当分は現役世代の保険からの拠出金(退職者医療費拠出金、老人保健拠出金に相当)でまかなうとしています。運営主体は、都道府県内の区域ごとに設けられる市町村広域連合になり、保険料徴収等の事業は、各市町村の責任において行なわれます。

■加入者への影響             
 後期高齢者専用の医療保険は、75歳以上の全ての高齢者が加入者となります。ここでは後期高齢者は全て加入者となり、被扶養者という概念がないところが注意点です。つまり、後期高齢者全員が加入者となるため、全員に保険料負担が発生します。保険料率は、広域連合内の全市町村に同一の率とされ、保険料の徴収方法は、介護保険の場合と同様に特別徴収(年金からの天引き)が主体となります。一般の後期高齢者の負担割合は、現行通り1割とし、高所得者は2割から3割に引き上げられます。前期高齢者の負担割合については、2割となる予定です。
 日本医師会では、高齢者医療制度について、@75歳以上の後期高齢者を加入者とする、A都道府県あるいは広域連合体を運営主体とする、B財源として公費を90%、保険料と自己負担を10%前後とする、といった提案をしてきており、この高齢者医療制度については、一部日本医師会の主張が認められたことになりますが、まだまだ検討を要する課題が残されているのも事実です。



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