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■契約の使い分け
最近は社員を雇用する際に、社会保険料の負担をなくすために、労働契約を締結するのではなく、請負契約や業務委託契約を締結するケースも増えています。
しかし、労働契約と請負契約、業務委託契約の違いを理解して使い分けないと、その契約自体が無効となり、後から大きなリスクを負ってしまう可能性があります。それぞれの契約の違いを正しく理解し、うまく使い分けることが大切です。
■雇傭、請負、業務委託の契約の違いとは
民法では、雇傭契約・請負契約・業務委託契約(民法では準委任契約と明示されています)は、はっきりと区別されています。
雇傭契約とは、契約の当事者の一方が相手方に労務に服することを約束し、相手方がこれに対して報酬を支払うことを約束する契約のことです(民法623条)。つまり、雇傭契約の目的は労務の提供そのものです。
これに対し、請負契約は仕事を完成させることを目的とし、その結果に対して報酬を与える約束の双務有償契約です(民法632条)。
業務委託契約は、双方の信頼関係の下に委任者が一定の事務処理を受任者に委託し、受任者がこれを承諾することにより成立する契約です(民法643条・656条)。ここでいう「事務」とは、一般的な事務ではなく、「仕事」全般を指します。
雇傭契約は労務の提供を目的とし、請負契約は仕事の完成を目的とし、業務委託契約は仕事の処理を目的としている点が大きな違いです。
■労働契約の考え方
このように、民法では契約の目的により区別されていますが、雇傭契約については、適用領域が極めて限定され、大半が労働基準法の適用される労働契約となります。
民法上、契約は当事者間で自由にできることが原則(契約自由の原則)ですが、労働契約については、多くの法規制によって契約自由の原則が制限されています。
経済的に優位に立つ使用者と経済的に弱者である労働者は、実質的に対等な契約は不可能となるので、弱者である労働者を保護するために特別の法規制を設けたものです。
そのため、労働基準法での労働者の定義「労働者とは職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」に該当すると判断された場合には、民法上の契約形態に関係なく、労働基準法による保護の対象となる労働者とされ、この労働者と結んだ契約は労働基準法に基づく労働契約と判断されます。書類上請負や業務委託としていても、労働契約になります。
■労働契約の判断基準
労働基準法に基づく労働契約かその他の契約なのかを判断するために、労働基準法研究会報告(1996年)から労働者性の判断基準が提示されました。
@仕事の依頼や業務従事の指示を断ることができる。
A具体的な指示や方法の指示が受けずに業務を行う。
B進捗状況の報告や勤務時間の報告義務がない。
C代わりの者に業務を行わせることができる。
D報酬が時間・日・月の単位で支払うのではなく、業務の成果で支払われている。
E会社は機械・器具などの機材等の負担をしていない。
F報酬は機械等を負担するため、他の一般社員より高い。
G報酬は生活給的な要素はなく、契約に定めた業務に対しての報酬である。
H契約期間中でも、他の会社の業務を行っても良い。
これらの判断基準をすべて満たす場合は、労働者性はないものと判断され、請負契約や業務委託契約が可能となります。
「指揮命令を受けて労働するのか」「労務提供の対償としての賃金の支払うのか」の2点を実態的に判断することが、その契約が労働契約になるかどうかを見極めるポイントとなります。
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