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2004年春号(Vol.o21)/04


似たもの同士

〔 ワイズサービス 代表 矢田 祐二 〕



■人には、本能的に相手を「同質か異質か」に見分ける能力が備わっています。
同質とは、自分の個性に似たもののことをいい、異質とは、個性と異なるもののことをいいます。

■人は、同質の相手に対しては、自分と似た人間だと判断し親密さや安心感を得たり、瞬間的に意気投合したりします。
 人間が自己肯定の生き物である以上、自分に似たものに惹かれることや、可愛く思えることは、抑えようがない心理だといえます。「似たもの夫婦」という言葉は、外見や価値観を含め、この力が働いた結果であるといるでしょう。
異質の人に対しては、この人は自分と違うことや、しゃべりにくいと感じることが多くあります。 当然、そこには可愛さや親密さという感情は生まれにくくなります。
 この基本的な心理メカニズムは、企業活動にも大きな影響を与えています。

■人は、同質の人間には甘く、あるいは、高く評価する傾向があるという実験結果があります。上司は、無意識のところで、自分と似たタイプの人材に高い評価をすることや、有利なポジションを与えることとなります。
 人事評価では、評価する側に、このメカニズムの理解が必要となります。
 採用の場面でも、同様です。面接官が、自分と似たタイプの人材に高い評価をしている可能性は、否定できません。特に、短い時間に相手を判断しようとすると、この同質か異質か(理解できるかできないか)という単純な判断軸で行いがちです。
 毎年同じような人材ばかりを採用してしまう原因のひとつがこれかもしれません。ひとりの人間が、何年も面接を担当することや、面接担当者のメンバーの個性が偏らないようにする必要があります。
 ただし、デメリットばかりではありません。営業では、うまく取り入れれば、小さな努力で大きな結果を得ることができます。
 顧客の個性を見抜き、その個性に似た人材をその顧客の担当者にすれば、成約率は格段にあがります。最初に対応する担当者が、顧客に対し「自分と違う」と感じたときには、それ以上深追いせずに、その顧客と似た個性の人材に代わります。

■同質と異質の心理メカニズムを理解することは、経営者や管理者にはもちろん、組織に属する人材は知っておくべき基本的なことです。
 特に、経営者は、自分の好き嫌い(同質か異質か)で判断することは、避けなければいけません。
 組織は、いろいろな個性や考え方をする人材がいると活性化します。それに対し、同じような個性や考え方の人材ばかりの組織では、新しい視点や意見が出にくく活性化はしません。
これは、先にあげた人事評価や採用活動などの結果としての『人材の同質化』とよばれる状態であり、大企業病や組織の硬直化といわれる病の最大の原因です。

■放っておくと、似たもの同士で引き合います。
 きっと、会社の飲み会で、あなたが座った隣の席には、居心地よさそうに似たものがいることでしょう。



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