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自営業者の労働者性
【自営業者の労働者性】 (2007年8月6日のブログ記事より)

 昨今、雇用形態が多様化しています。3人に1人が非正規社員という統計もあるくらいです。

 そこで会社が個人と契約する場合、労働者としてではなく業務委託契約による例がよく見られます。例えば早期退職社員の一部社員と業務委託契約をするような場合や「フリーランサー」と呼ばれる企業や組織に雇用されずに自由な立場で自立して専門的な仕事を行う者などがこれに該当します。この個人を「自営業者」「個人請負」「個人事業主」などと呼びます。この契約が労働契約になるか業務委託契約になるか、つまりこの人達が労働基準法(労基法)の適用を受ける労働契約か否かは、労基法9条にいう「労働者」にあたるか否かで決せられます。これは、形式ではなく実態として使用従属性があるかという点で判断されます。

 会社側が労働者として契約しないで業務委託契約をする理由としては、割増賃金、社会保険料の負担がなくなる、解雇の問題につながらないなどの利益があるからです。また労働者としては経費の申告により税負担が軽くなります。しかし、労働者ではないわけですから労働基準法の保護もなくなりますし、労災保険の適用もなくなります。ここで労働者とは@指揮監督下にあるか、A報酬が労務対償であるかを基準としています。このうち@については業務遂行上の指揮監督の有無、拘束性の有無、諾否の自由、代替性の有無が問われます。Aについては報酬の額、計算方法、支払形態における従業員との同質性の有無を問われます。

 この自営業者の労働者性が問われた判例として、朝日新聞社事件があります。朝日新聞社事件は、新聞社において記事の執筆や翻訳の業務を行う個人事業主らが、新聞社に契約関係を打ち切られたことを契機に、新聞社との契約関係が雇用契約であると主張して新聞社に対し雇用契約上の地位の確認と賃金支払を請求した事案であり、東京地裁判決(平成19年3月19日)は「原告らと被告との関係が労基法の適用を受ける労働契約関係であることを認めることはできないし、他にこれを認めるべき証拠はない」として、原告らの請求をすべて棄却しています。この判決も、原告らに業務の依頼に対し諾否の自由があったこと、自由に業務を行う日時や場所を自ら設定できたことを認定して「指揮監督下の労務提供」を否定し、原告らに支払われていた原稿料については、これらの事情に加えて報酬額の決定・支払方法・勤務時間との関係・その増加の取扱が被告の社員と異なる取扱であることのほか、給与所得としての源泉徴収、社会保険料徴収がなされておらず、税金の申告も原告らが自ら申告していたことを認定して「報酬における労務対価性」を否定しています。

 このように労働契約と業務委託契約は、形式ではなく実態で判断されますので、判断基準など実務上参考としていただきたいと思います。
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