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試用期間とは、本採用前の期間であり、その期間に当該社員の勤務態度、能力、技能等を評価して適格性を判断し、経営者が正式に採用するか否かを決定するための期間です。その期間の長さについて法的な制限はありませんが、能力や勤務態度の評価を行うのに必要な合理的範囲のものでなければなりません。最長でも1年を超えないこととし、通常2ヶ月から6ヶ月の間で定められるのが一般的です。「試用期間」を設ける場合には、就業規則等において、試用期間の目的、試用期間の長さ(その延長または短縮を含む)、試用期間中の給料や賞与の取り扱い、試用期間中の解雇・本採用の基準と手続き、試用期間の扱い(勤続年数の算定に関わる取り扱い)などについて定めておく必要があります。
試用期間中の雇用関係について、判例では「解雇権留保付労働契約」と解されています。すなわち、採用当初は当該社員が適格性を有するかどうかすぐに判断できないので、一定期間、採否の最終的決定が留保されているということです。そのため、このような解雇権留保に基づく解雇は、本採用者の解雇よりも広い範囲において解雇の自由が認められているものと解されています。
また、都道府県労働局長の許可を受けたときは、試用期間中は最低賃金法の適用から除外され、給料を低く抑えることが可能です。ただ、試用期間が6ヶ月を超えると最低賃金法を適用するという判例も過去にありますので注意が必要です。
■試用期間の取り扱いにおける留意点
労働基準法上の試用期間は14日間とされていますので、「試用期間中の者を14日以内」に解雇する場合には、解雇予告または予告手当の支払いを必要とせず、即時に解雇することができます(労基法第21条但書)が、試用期間中の解雇基準を設けた場合であっても、採用の日から14日を超えてから解雇する場合には、会社は最低30日前に予告しなければなりません。もし、予告なしに採用取り消しをするなら、社員に特に悪質な行為があるなどの場合を除いて会社は30日分の平均賃金を社員に支払わなければなりません。
試用期間中は、解雇権が留保されているとはいえ、解雇が全く自由に行えるというものではなく、能力や適性の不足に関して具体的に根拠を示す必要があり、また、それが解雇事由として妥当なものかどうかは解雇権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的な理由が存在し社会通念上相当として認められる場合のみ許されるものと解されています。
試用期間は本採用ではないのだから、雇用保険、健康保険、厚生年金保険等の社会保険の加入の手続は本採用になってからで良い、と思われている会社が未だ多く見うけられます。各保険制度には被保険者の適用除外がいくつかあります。しかし、これらの保険の適用は強制的なもので、経営者の判断や社員個人の意思によって適用の有無を決めることは認められておりません。すなわち、試用期間中の者といえども適用除外に該当しないのです。試用期間中の者であっても、最初に雇い入れた日をもって取得することが義務づけられています。社会保険事務所では社会保険総合調査を実施しています。この調査でよく指摘される点として、試用期間中の未加入問題があげられます。本採用になった日付での届出と試用期間を含む採用日のずれが必ず指摘されます。
■試用期間に絡む具体的事例
試用期間中の解雇や本採用拒否、試用期間の延長などでトラブルが発生するケースも少なくありません。試用期間中の者にとっては、試用期間を経過すれば当然、本採用とされると考えるのが普通だからです。ここではトラブル事例を一つ挙げて、必要な対応を考えることにします。
事例:3ヶ月の試用期間のあと、本採用を拒否されてしまいました。会社は本採用拒否の理由を告げてくれませんでした。このように会社が一方的に本採用を拒否することができるのでしょうか。
対応:試用期間は会社が社員を採用するかどうかを決定する期間ですから、会社としては自由に本採用を拒否できるとも思えます。しかし、試用期間とはいえ社員と会社の間に労働契約は成立していますので、一方的な解雇はできません。裁判所の判断では本採用を拒否できるのは本採用拒否に「合理的な理由」のある場合です。「合理的な理由」とは具体的には
@本人が申告していた経歴や学歴に重要な点で虚偽があったことが判明した
A試用期間中の労働による生産高、数量などが、目標の考査に合格しない
B業績、効率の評価の結果、合格水準に達していない
C学生時代に暴力的な刑事事件で逮捕されていた
などが挙げられます。
試用期間中は、業務内容等に順応させるための教育期間でもありますので、試用期間終了時に適正を欠き、どうしても本採用として採用することが難しい場合などは、本採用を拒否するよりは試用期間を延長する措置が必要といえます。その場合は予め就業規則にその旨を規定しておき、労働契約締結時に通知しておきます。そして、その規則に従い試用期間中の者にその旨を伝えます。試用期間は、試用期間付き労働契約を締結し雇入れるわけですから、当然、恣意的に解約権を行使することはできないということになります。
〔平成16年の当社発行『経営人事レポート』の記事より掲載〕
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